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【皮膚科医監修】赤ニキビの原因菌「アクネ菌」を殺菌すれば赤ニキビは治る?

  • 皮膚科医が明かす
  • 赤ニキビを知る
  • 赤ニキビを防ぐ
監修:加藤円香 先生
茅ヶ崎mamaクリニック院長
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。鳥取大学医学部卒業。群馬大学院医学系研究科皮膚科学卒業・医学博士。

アクネ菌というと「ニキビを引き起こす悪い菌」というイメージをお持ちの方も多いと思います。 実際、過剰な皮脂の分泌が原因で毛穴が詰まると、アクネ菌が毛穴に詰まった皮脂をエサに繁殖し、赤ニキビを引き起こしてしまいます。 そんなアクネ菌を何とかして殺菌して、全滅させたいと思ったことはありませんか?   今回は赤ニキビを治すためにアクネ菌は本当に殺菌して全滅させてしまって良いのか?アクネ菌の知られざる性質についてご紹介したいと思います。

この記事の内容
  • ✓肌は「色んな微生物が生息している人体で一番大きな臓器」
  • ✓肌の微生物は健やかな肌には欠かせない存在
  • ✓皮脂や角質が毛穴に詰まると、アクネ菌が過剰増殖し、菌バランスが崩れる
  • ✓菌バランスが崩れてしまうと皮膚トラブルが引き起こされる
  • ✓アクネ菌以外の代表的な常在菌

アクネ菌は殺菌して全滅させるべき?

結論から言うと「アクネ菌」を殺菌薬などで殺菌して全滅させたらお肌に悪影響がでて肌荒れを起こしてしまうので全滅させてはいけません。
実はニキビの原因菌として知られている「アクネ菌」も普段は肌を守る「バリア機能」の役割を担ってくれています。

肌にはたくさんの微生物が生息している

肌は、無数の微生物が生息していることから、「色んな微生物が生息している人体で一番大きな臓器」と呼ばれています。
肌にいる微生物の多くはヒトにはない機能を持っていて、肌をニキビのない状態に保つ上では欠かせない存在となっています。
肌に生息する善玉菌は普段は、病原菌から肌を守る皮膚の炎症を抑えるといった働きをしてくれていますが、菌バランスが崩れてしまうと、普段悪さをしない菌が皮膚のトラブルを引き起こすことになってしまいます。

アクネ菌(アクネ桿菌)

肌に生息している微生物の一つが「アクネ菌(学名: Propionibacterium acnes)」。
「アクネ菌」は一般的にはニキビ(にきび、尋常性ざ瘡)を引き起こす菌として知られています。
しかし、実は「アクネ菌」は普段は善玉菌の働きをしており、菌バランスが崩れない限りニキビを引き起こしません。
「アクネ菌」は皮脂腺や毛穴に生息しています。
アクネ菌は酸素を嫌うので、酸素の少ない皮脂腺や毛穴は、アクネ菌にとってとても住み心地のよい環境なのです。
アクネ菌は皮脂を材料にして、肌を弱酸性に保つ物質※を作ります。
こうしてアクネ菌は肌を弱酸性にすることで、黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌などといった病原菌が増えないようにしてくれています。

※アクネ菌が分泌する皮脂分解酵素リパーゼによって毛穴の皮脂が分解され、「遊離脂肪酸」が作られます。

ところが、皮脂とアカと汗の混じった塊(角栓)のせいで毛穴の出口が狭まり、毛穴の奥の皮脂腺から分泌された皮脂が外に出られなくなってしまうと、アクネ菌が皮脂をエサにして過剰に増殖してしまいます。そして、増えすぎてしまったアクネ菌に対抗するため、身体の免疫システムが働き、炎症が引き起こされます。その結果、赤ニキビが出来てしまうのです。

アクネ菌以外の代表的な常在菌

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は蒸し暑い場所(毛穴など)を好みます。
黄色ブドウ球菌は菌バランスがとれた状態だと何も悪さをしません。
しかし、肌を弱酸性に保ってくれる菌が減少して皮膚がアルカリ性に傾いてしまうと、黄色ブドウ球菌が増えすぎてしまい炎症が起きてしまいます。

表皮ブドウ球菌

表皮ブドウ球菌は皮膚を病原菌から守る上で大切な役割を果たしています。
表皮ブドウ球菌が作り出す「フェノール可溶性モジュリン」という物質は、黄色ブドウ球菌やA群連鎖球菌などといった悪玉菌の働きを抑えてくれます。
また、表皮ブドウ球菌は、皮膚の炎症を抑える働きをする「リポテイコ酸」という物質も作り出しています。

まとめ

アクネ菌はニキビを引き起こす菌として嫌われることが多く、殺菌して全滅させるべきだと思われることも多いです。
しかし、肌の菌バランスが取れた状態であればアクネ菌は皮脂を材料にして、肌を弱酸性に保つ物質を作り、普段は善玉菌として働いています。
そのため、アクネ菌を殺菌して全滅させてしまうと肌の菌バランスが崩れ、肌荒れが引き起こされてしまいます。
あらゆる菌を全て殺菌しようとするのではなく、増えすぎたアクネ菌、黄色ブドウ球菌などを減らすことで、表皮ブドウ球菌をはじめとする善玉菌がいきいきと働ける環境を作ることが大事です。
スキンケアや普段の生活習慣などで菌バランスを整え、毛穴を詰まらせないようにすることが赤ニキビや吹き出物などの肌のトラブルを起こさないようにするのが重要です。


参考文献:E. A. Grice, J. A. Segre (2011). The skin microbiome, Nature Reviews Microbiology vol. 9, pp 244–25.

監修:茅ヶ崎mamaクリニック 加藤円香先生
茅ヶ崎mamaクリニック URL:https://www.mama-clinic.com/chigasaki-clinic

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※全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。
※全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。

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