臨床データ※
試験概要
診察のため病院を訪れた172人(35-50歳)が被験者となりました。
試験前に、被験者の診察および検査(Green¬Vermillion口腔衛生指数、Russel歯周病指数、Loe, Silness歯肉炎指数、レントゲン検査、微生物検査)が行われ、検査結果に基づき診断が下されました。
慢性カタル歯肉炎および肥大性歯肉炎の被験者はKG、軽度の慢性広汎性歯周病はHGPグループに割り当てられました。対照群には口腔内に炎症がなく、その他身体的疾患のない20人が入りました。
プラークアッセイ法※により、効果を検証するために、全てのグループの被験者からサンプルを採取し36時間培養しました。KGグループの被験者は歯垢、 HGPグループの被験者は歯周ポケットの中身からサンプルを採取しました。
プラークアッセイ法とは
普通寒天培地にファージと宿主細菌を含む試料を軟寒天培地に混ぜ、普通寒天培地に注ぎ、十数時間培養する。ファージを含まない軟寒天は宿主細菌が増殖し、不透明になるが、ファージを含む軟寒天ではファージが増殖し周辺の宿主細菌の増殖を阻害するので透明の領域ができる。透明の領域を「プラーク」と呼び、プラークは増殖したファージを多く含む。
歯科医による洗浄後、各群の被験者は次の処置をうけました。
- ・KG-f群…薄層の乳頭歯肉および歯肉の縁に薄くバクテリオファージ配合ジェルを塗布
- ・HGP群…グレイシー・キュレット、エキスカベーター、超音波治療器の細長いピースを用いた歯周ポケットの洗浄
- ・HGP-f群…蒸留水で歯周ポケットを洗浄し、口腔の唾液を覗いた上で、注射器からバクテリオファージ配合ジェルを歯周ポケットに注入。
- KG-f群、HGP-f群の被験者は口腔洗浄機を用いて歯磨きした後、バクテリオファージ配合ジェルを1~2センチ分指に出し、2~3分間マッサージするように歯肉に塗布するよう指示されました。バクテリオファージ配合ジェルは2~3週間、1日3回(午前中、午後、就寝前)使用するよう指示されました。
評価方法
試験結果は下記の方法により評価されました。
- ・プラークアッセイ法によりバクテリオファージ配合ジェルの細菌叢への影響を評価
- ・1ヶ月後および3ヶ月後の検査
- ・被験者アンケート
研究結果
- 治療後、すべての群において歯周病指数(PI)の低下傾向が見られました。
- また出血指数(SBI)の値も全ての群において低下しました。
- 治療による症状の緩和は被験者によって差異は見られたものの、バクテリオファージ配合ジェルを使用した被験者で副反応が出た被験者はいませんでした。
- プラークアッセイ法の結果、歯周ポケット内の微生物に対しても歯垢から得られた微生物叢に対しても、ジェルに含まれるバクテリオファージは高い溶菌性を持つことが認められました。一方で、炎症のない被験者から得られた微生物叢に対しての溶菌性は低く、バクテリオファージは正常な細菌叢に対しては働かないことが示唆されました。
炎症性歯周病に伴う症状の軽減までの平均期間(日)
被験者の歯周病の状態及びバクテリオファージ配合ジェルの利用効果
モニター募集
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コラム
Green Vermillion口腔衛生指数(OHI-S)
GreeneとVermillion (1960)により提唱された指数。調査部位を6歯のみとし、DI(堆積物の指数)とCI(歯石指数)をそれぞれ求め、合計したものがOHI-Sの値になります。
Russel歯周病指数(PI)
Russell (1956)により提唱された指数。それぞれの歯について以下の評価に従った点数をつけ、平均したものが、その個人のPIになります。
歯肉炎指数(GI)
LoeとSilness (1963)により提唱された指数。それぞれの歯を4面(頬・唇側面、舌・口蓋側面、近心面、遠心面)にわけて、以下の評価に従った点数をつけ、平均したものが、その歯や個人のGIになります。